心が叫びたがってるんだ 言葉が生み出す「呪い」と「感動」の物語 

心が叫びたがってるんだ 言葉が生み出す「呪い」と「感動」の物語

 

クリスマスに贈る、MAXからの感動のプレゼント!

この作品は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の超平和バスターズとスタッフによる実写映画にもなった人気アニメーション映画で、視聴後の満足度がとても高く、2018年最後に取り上げるに相応しい名作ではないでしょうか!!

副題の「Beautiful Word Beautiful World」にもあるように、この作品では「言葉」というものの重要性が描かれています。私たち人間は「言葉」によって簡単に人を傷付けることができます。それと同時に「言葉」によって、人を救うことだってできます。

そして、「言葉によって世界そのものを創造する」こともできます。

そういう「言葉」というものにフォーカスを当てながら、作品の魅力をお伝えしていきます!

 

心が叫びたがってるんだ を虹見式で採点すると

虹見式・六性図    
①キャラクターの魅力 13
②ストーリー 12
③声 優 14
④主題歌 / BGM 14
⑤キャラデザイン / 作画 12
⑥感動度 24
合 計 89

という結果になりました!

考えさせられる物語構成はもちろん、何と言っても当サイト推しの声優「水瀬いのり」さんが、幼い頃に自らに呪いをかけ、声を失ってしまった主人公という難しい役どころを演じています。他にも、雨宮天さんなど、人気声優や役者さんも担当しており、クオリティの高い内容になっています。

主題歌を担当したのは、MAX推しの乃木坂46で、『今、話したい誰かがいる』は、個人的に乃木坂46で一番好きな曲でもあります。エンディングでこの曲が流れると、泣けてきてしまいました。そんな個人的感情もあり、高得点となりました(笑)ちなみに、映画とCDの音源は違うので、乃木坂好きな人は、ぜひ聴き比べてみてくださいね♪

とても深いテーマで描かれていますが、大人ではなく、子供や高校生で描くことは、素直でわかりやすいところがあります。ただ、大人にこそ観ていただきたい作品でもあるので、その魅力を存分にお伝えしていきますよー!

 

心が叫びたがってるんだ をざっくりいうと

子供の頃に、自分のおしゃべりのせいで家庭が崩壊し、自らに仕掛けた呪いによって自分の声を封印し、心を閉ざしてしまった少女が高校生になり、音楽を通して仲間と触れ合い葛藤を繰り返しながらも、自分と向き合って「自分の本心」と「」を取り戻していく青春物語。

 

心が叫びたがってるんだ ストーリー

呪いを生み出した子供時代の悲劇

子供の頃、女の子なら誰もが憧れる白馬の王子様。主人公の「成瀬順」が住む街の山の上には、お城のようなラブホテルがあった。まだその意味を知らない順は、そのお城に憧れ、本当に王子様が住んでいると思っていた。
そんなある日、お城から出てきた人は「父親」だった。父が王子様だと思い、喜び勇んで母に言うと、「それ以上しゃべらないで!」と口を紡がれる。不倫だったからだ。

理由がわからずに喋ったことによって、両親は離婚してしまう。追い出される父を引き止めようとしたが、父が言った言葉は、

「全部お前のせいじゃないか」

その言葉により、激しく落ち込んだおしゃべりだった順の前に、玉子の王子が現れて、「王子様に会いたい」という願いと引き換えに、「喋ったら王子様には会えない」と制約をかけられ、声を失ってしまう。

これはショックによる一種の失語症ですが、失語症になるのに、順の場合は「玉子の王子」が現れました。これは自分自身で生み出した訳ですが、心理的なショックによって、そういった存在を生み出して、暗示をかけてしまったんですね。

 

空気を読めない子供

子供特有の空気の読めなさで、場を凍りつかせたことはありませんか?私はあります(笑)

私は幼い頃に親が離婚しているのですが、ある日親戚が集まった時、内容はよく覚えていませんが、私が言った言葉で会話が凍りました。

「???」

何らかの異常を感じ、それ以上は何も言いませんでしたが、おそらく大人達は口裏合わせをしていて、もちろんそれを知らず、堂々とタブーを言ったのでしょう。

子供はその無邪気さ故に平気で大人の結界を打ち破ります。
これはある意味、「知らない」ことが武器になるからとも言えます。ただその武器は、いつどのタイミングで発動するかはわかりません。ドラクエで言えば、まさに「パルプンテ」のような武器は、時に空気を凍らし、時に張り詰めた空気を和ませます。

どちらにせよ、凍りつかせるのは大人にとって都合が悪いからで、子供だから持つ純粋なエネルギーによる作用が働くのです。

おしゃべりだった順が、母親に話したことでエネルギーが働き、夫婦は別れたわけです。その副産物として、父の一言があり、反作用として言葉を失ったのですが、それも、順が後々向き合う為に引き起こされた事象なのです。順のエネルギーが働かなければ、この物語は生まれることはなく、両親はドロドロの離婚をしたり、順は自分と向き合うことはなかったかもしれません。

 

地域ふれあい交流会(ふれ交)

心を閉ざしたまま高校生になった順は、誰とも話をすることなく、友達もいない暗い女の子になっていた。そんな折、地域ふれあい交流会の実行委員に指名されてしまい、それから否応なしに自分と向き合うようになっていく。

実行委員の4人

一人は坂上拓実。冷静なタイプで、あまり自分を出すことはなく、クラスでも目立たない存在。コンピューターで作曲をするDTM研究会に所属していて、ピアノやアコーディオンを弾いたりして、音楽に精通している。

もう一人は仁藤菜月。チアリーダー部の部長を務め、容姿端麗の優等生。拓実とは同じ中学校で付き合っていたが、手も繋いだことのないような関係だった。順と拓実の関係を見て、心が揺れ動く。
ちなみに、声優は我らがTrySailの雨宮天さん!

もう一人は、田﨑大樹。野球部のエースだったが、怪我によりレギュラーを脱落し、療養中。甲子園を期待される程の逸材だったが故に、怪我をして練習さえできない今は、やさぐれてしまい、実行委員に指名された時も、「俺はその辺の暇人じゃない」と文句を言い、いきなり軋轢を生む。

そして、心の中はおしゃべりなのに、喋ることができない成瀬順。

なんとも個性がバラバラな人選だが、この4人を選んだ担任の先生には何らかの思惑を感じる。

 

拓実との出会い

当惑した順は、実行委員を外してもらうよう直訴しに先生の部屋に行く。そこには、同じく実行委員をを外してもらうよう言いに来た拓実がいた。拓実はアコーディオンで「Around the world」を弾きながら、即興で歌詞をつけ歌っていた。その歌詞に順は心の中を見られたと思い、ドキッとする。

立ち去ろうとした所に、先生がやってきて、順は直訴状を渡し、拓実も辞退を申し出るが、保留にされる。

 

「音楽に合わせると気持ちを伝えやすい」

翌日、担任のしまっちょは音楽の先生なので、4人にミュージカルを勧める。

「ミュージカルは、歌に合わせて思いを伝えるから、ストレートに気持ちを伝えるよりも伝えやすい」と。

前日、心を見られたと思った順は、拓実に詰め寄る。そこで、自分が喋れなくなった顛末を話し、拓実も順の心に寄り添うように聞いていた。いかにして、喋らない順が誕生したか。

自分のおしゃべりのせいで両親が離婚し、おしゃべりの自分を恨み、学校では無口で、家でも母から疎まれ、喋れないからと、来客があっても「みっともないから出ないで」と言われていたり。そして、居留守を成立させる為に、一人の時はいつも家の中は暗くしていた。順の心の安らぐ場所は、家にもないのだった。そのせいで順は、声を出そうとすると激しい腹痛に見舞われるようになってしまった。

そんな時に、拓実に倣って自分の思いを歌詞にして歌ってみたら、お腹は痛くならなかった。歌でなら、気持ちを口に出来るようになっていた。

順は、拓実にそのことを話し、ミュージカルをやることを決意し、音楽で自分の気持ちを喋りたいと思うのだった。

 

懐かしい名曲の数々

この作品には所々に、

ガーシュインの「Swanee」や「Summertime」

ロシアの歌謡曲「ダローガイ・ドリーンナィユ」

ブルックミュラーの「アラベスク」

イングランド民謡の「グリーンスリープス」

映画「八十日間世界一周」のテーマ曲「Around The World」

ベートーベンのピアノソナタ「悲愴」

ミュージカル映画「オズの魔法使」の劇中歌「Over The Rainbow」

など・・・

誰しも一度は耳にしたことがある名曲が随所に散りばめられています。

 

順の本気がクラスを動かす

なんだかんだで、指名された田﨑以外の実行委員が集まり、準備を進める。
幾つか候補を挙げ、順の希望でもあるミュージカルを提案すると、実行委員にされたのに何もしない田﨑が、「バカじゃねぇの?実行委員に喋れねぇヤツがいるのに無理に決まってんだろ!」と言うと、拓実が食ってかかる。

揉め始めた時に、順が

「わーたーしはーやーれーるーよー!不安はーあるけどーきぃっとでーぇきぃるぅ・・・」

と歌に合わせて気持ちを伝えると、一瞬静まり返りるが、恥ずかしさから順はクラスを飛び出すのだった。

 

ファミレスミーティングにて

翌日の放課後、ファミレスでミーティングをするのだが、仁藤がヒマそうにしていた田﨑を連れて、4人が揃った。
バツの悪そうな田﨑だったが、順に謝ろうとした瞬間、野球部の後輩達が、田﨑の陰口を叩きながらサボりにやってくる。
居合わせた田﨑が説教をしようとすると、後輩の現エース山路が、面と向かって文句を言う。

「どうせなら俺の前から消えてくれりゃいいのによぉ!」

すると順が

「いい加減にしろぉ!消えろとか、そんな簡単に言うな!言葉は傷つけるんだから!絶対にもう、取り戻せないんだから!」

と叫ぶ。

我に返ると呪いを思い出し、お腹に激痛が走り、病院に運ばれる。

病院に来た母は、心配するどころか、

「また呪いとか言うヤツ?最悪。」

「そんなに私が憎いの?私への嫌がらせ?何とか言ってくれないとわかんないの!もう疲れた。仕事も、あなたのことも…」

という始末。

ロクでもない母親ではあるようにみえますが、母は母で苦しんでいました。子が親の愛を求めるように、親だって子供から沢山の愛をもらっています。離婚してしまったことで、女手一つで仕事を頑張るも、娘は何も喋らない。娘の気持ちがわからない。娘の為にしている仕事も、何の為だかわからない。
そんな、苦しみを抱いていて、順と同様に、誰かに聞いてもらうことも、ぶつけることもできなかったのでしょう。そう考えると、一概に母親を責められるものではないですね。

 

田﨑のけじめ

ファミレスで、自分が陰口を言われていて、部員たちにどう思われていたのかを知った田﨑は、朝の自主練に顔を出して、珍しく参加した後輩エースの山路に頭を下げる。

「大事な時に怪我をしちまって悪かった!ここで仕切り直させてくれねえか?怪我を治して、またお前らと甲子園を目指す!」

山路は、特に何も言い返すことなく、朝練に向かう。

その日の実行委員の打ち合わせで、順の思いからミュージカルをやることになるが、そこに田﨑はいない。しまっちょは、「4人揃わないと意味がない。」と言うが、田﨑は多分来ないと言われる。

「ミュージカルには、奇跡はつきものなんだぜ」

と、確信めいてしまっちょが言うと、そこに田﨑が現れ、順に、

「成瀬、こないだのこと、ひどいことを言ってすまなかった!俺も、お前らが準備してるそれに参加させてくれねぇか?」

と頭を下げる。

順はもちろん快諾し、田﨑の奇跡によって、ミュージカルをすることになった。

いやぁ、田﨑がこれからカッコ良くなっていくんですよねぇ。ある意味怪我によって夢破れて、責任を感じつつも、何もできることはなく、先輩として弱音を吐けないことで、やさぐれてしまったのですが、しっかり自分と向き合い、己の非を認め、後輩にも、順にもきちっと頭を下げて謝った。スポーツマンらしく実に清々しい男です。何気に、4人の中で一番先に自分と向き合い変化しました。

 

クラスの反対

いつのまにか田﨑が仕切り、実行委員の意向で、ふれ交の演目をミュージカルにすると言うと、一斉に反対される。

「そんなのできるわけないじゃん」
「1ヶ月もないんだからできるわけない」
「忙しくてできない」

そこで田﨑は

「この前俺は、成瀬にできるわけねぇと言ったら、成瀬はできると証明した。だからミュージカルをやるんだ!」

と言うと、

「それはあんたの話でしょ?私らに押し付けないでよ」

と返されるが、

「私はいいと思う!」
「ダンスもあるなら振付けもしたい!」
「音楽ならDTM研究会の出番ですね!」

など、徐々に肯定意見が出てくる。
そこで拓実が

「俺も最初はミュージカルなんてできないと思ったけど、本気のヤツがいるなら、そいつに乗っかって、みんなで頑張るのもいいんじゃないかって思うんだ」

そう言うと、

「どうせやんなきゃなんないしねぇ」

と、反対の流れが変わり、ミュージカルに決定した。主役はもちろん成瀬順。他の実行委員も、重要な配役になってしまった。

 

曖昧な否定より、明確な意志の方が強い

否定する言葉は、強いものがあります。肯定的な言葉よりも、否定的な言葉の方が印象に残ったり、強い衝撃を与えたりもします。それに、面倒臭いことを前に不平不満を言うことは簡単です。それはそうです。誰もわざわざめんどくさい事をやろうとは思いませんよね。しかし、何かしらやらなければならない状態で、皆が嫌々やるよりも、一人でも確固たる信念、意志を持って肯定的な意見を出すと、その熱意が伝播して、肯定的な意見に引っ張られていくものです。特に、ふれ交のような、やらなければならないようなことや、学園生活という限られた時間の中であればなおさらです。

中々、否定的な確固たる信念を持つことは難しいものです。相当傷付いた経験があったり、それなりの理由があれば別ですが、否定や不満に全振りすることは、実はできるものではないのです。しかし、肯定に全振りすることはできるんですよね。順の本気の思いが、実行委員を動かし、クラスメイトの肯定的な意見を大きくしていき、空気を変えました。不満を言っていたクラスメイトも、結局は実行委員に従うような意見に変わっていったのです。

 

どうせやるなら精神

クラスメイトの意見が変わったことには、確固たる意志と別の理由もあります。
無理やりやらされることは苦痛にもなります。でも、どうせやるなら、楽しんだもん勝ちです。学校なんて、やらされることでやりたいことなんて、一つもないんじゃないでしょうか。
でも、学生生活という限られた時間の中で、友達や仲間と力を合わせて同じ目的を成し遂げる。これこそ青春ですよね!その中で新たな友情や絆や恋が芽生えたりもします。そういった背景も大きいでしょう。

これは、若さ故のアオハル感かもしれませんが、大人になってからでも、青春心を持って「どうせやるなら精神」があれば、仕事でも何でも、青春を味わうことはできるはずです。

おかげさまで、私は今でも青春(アオハル)を味わってます!(笑)^_^v

 

私MAXの高校の思い出

大抵演劇は学園祭とかにやると思いますが、私MAXも、高校三年生の時に演劇をやることになりました。私は脚本を担当するのになったのですが、色んなテーマを出してもらいその一つに、女子の提案でミュージカルがありました。投票結果は、1位が「愛」2位が「ミュージカル」、3位が「死」というものでした。
個人的にですが、ミュージカルはあまり好きじゃないこともあり、脚本にするのが難しく、1位と3位の「愛」と「死」をテーマにした脚本を2本書きました。

クラスでチェックしてもらう時に、なぜか女子達がミュージカルの脚本を作って来たんです。担当を決めたはずなのになんで?と思いましたが、女子的には、ミュージカルが2位なのになぜやらないのか?ということで、脚本を作ったそうですが、クラスの半分の総意なら、私は必要ないので、高校最後の学園祭をドロップアウトしました。準備から当日まで、一切関わるのをやめたんです。ある意味、確固たる否定をしたんですね(笑)面白いことに、確固たる信念は人を結びつけますが、確固たる否定は、自分だけが弾かれて孤独になってしまうという経験をしました。

後日、学園祭のビデオか何かを見た時に、どんなミュージカルなのかと思ったら、最後に合唱で終わり、というものでした。
「ミュージカルちゃうやん。それでよう俺から仕事奪ったなぁ。まぁもうどうでもいいけど…」
当時はそんな風に思い、それ以降クラスの女子とは一切口を聞きませんでした。^^;

そりゃね、私が納得させられるだけの脚本を作っていれば、何の問題もなかったでしょうよ。
ただ、知らないところで口裏を合わせていた女子達のやり方が気に入らなかったし、結構脚本を頑張って書いていたので、とても虚しかったです。

クラスメイトが、その時のことや私のことをどう思っているかは一切わかりません。その時の自分は向き合えなかったし、向き合おうともしなかったですから。
もし、これが私の人生において向き合わなければならないことならば、いつか向き合うためのイベント(経験)が発生するのでしょう。今なら、そうなるなら思いっきり向き合ってやろうと思います(笑)そして、それをネタに映画にしてやろうと思ってます!(笑)

 

「本当にしゃべりたいことは言えそうか?」

演劇の準備が進む中、脚本は残す所、順の最後の歌の歌詞だけとなった。
そこで、拓実は順に言う。

「本当にしゃべりたいことは言えそうか?」

このミュージカルは、喋れない順が、音楽に乗せてしゃべりたいことを伝える為に、順自身が希望して決まりました。
自分自身の経験を物語化し、伝えたい気持ちを歌詞にしているのです。
最後の曲は、一番伝えたい気持ちなのでしょう。

そして、偶然か必然か、これから経験することが、物語とリンクしていきます

 

田﨑の発見

田﨑は、ふれ交の準備をしていて、クラスメイトに色んな才能があることに気付いた。
拓実はピアノが弾けて、他の奴も音楽に詳しかったり、自分にできないことができる奴ばかりだった。

「俺は今まで、クラスの奴らのこと、全然見てこなかったんだな。」

田﨑も、自分の怪我のことで責任を感じ、焦り、悩み、苦しんでいたのでしょう。
しかし、後輩に陰口を叩かれ、自分がどう思われているかを受け止め、自分自身と向き合うことで、目の前のことを一つずつ片付けていくと決めてから、田﨑は大きく変わったのです。少し視線を変えるだけで、見える世界は大きく変わるものです。そういう意味では、今田崎に見えている世界は「言葉によって創造された」と言えるかもしれません。そして、順も一人で気付けた田崎のことを褒める。田崎はまんざらでもなかった。

自分の非を認めて、謝ることは、勇気がいることです。特に田﨑の場合は、田﨑だけが悪いわけでもなく、後輩達も悪いのですが、それを責めずに自分自身のことだけを飲み込みました。運動部らしく、田﨑は男らしいですね。

そして、喋れなくて暗かった順が、実は明るくて今まで見えなかった魅力も感じられるようになり、順を見る目も変わって行くのだった。

 

順の王子様

順調に準備が進んでいく中で、順は声を失ってから、友達もおらず、家でも暗くして居場所がない中で、初めて友達ができ、喋らなくても気持ちを通わせることができるようになった。

そして、順の心境の変化もあり、脚本のエンディングを変えたいと言い出した順の気持ちを聞き、拓実は一つの実験を試みる。それは、ベートーベンの「悲愴」とオズの魔法使いのOver the Rainbow」という別々の曲をミックスして同時に弾くというもの。元々のバッドエンドの歌詞も、新しいハッピーエンドの歌詞も、どちらも順の伝えたい気持ちなら、両方伝えればいいという拓実のアイデアでした。順はその演奏に、素直に感動する。ここで「ネガとポジの統合」という観点が出てくるところが素晴らしいですね。

そこで、拓実の話になり、拓実は、両親の教育方針の違いと、拓実の希望を巡り、不仲になって離婚することになった。その事に責任を感じていた拓実は、好きだったピアノも弾けなくなり、順とは違う形で本心を隠すようになり、心が引きこもってしまったのだった。

それを聞いた順は、それは坂上くんのせいじゃないと、メールで言う。

「だったら、成瀬の家のことだって、俺はお前のせいだなんて思えないよ。100%どっちが悪いとかダメとか、そういうのってきっとない。」

その言葉を聞いて、順はハッとする。
自分のせいばかりだと思っていたのが、そうではないと知らされたことに。

「坂上くんはすごいです」

とメールをする。拓実の言葉に順は涙を流し、この瞬間、順にとって拓実は、自分を救い出してくれた王子様になった。

 

ふれ交前日の悲劇

いよいよふれ交の前日。最初は文句や不満を言っていたクラスメイトも、なんだかんだやる気になって準備を進めていた。
最終リハーサルも無事に終え、やる気は最高潮に達した。片付けをする際、拓実と仁藤がゴミを捨てにいく時、クラスメイトがイチャイチャしているのを目撃する。

拓実と仁藤は中学の頃付き合っていた。しかし、メアドも知らず、自然消滅のような形で別れていた。
実行委員になってから、仁藤は拓実と順が仲良くしているのを見て、拓実は順のことが好きだと思っていた。

思い切ってその事を切り出すと、拓実は

「俺は成瀬の事を好きじゃねぇよ!気にはかけてるけど、好きとかそんなんじゃない!」

と言う。

そんな仁藤と拓実の会話を、順は皆の荷物を運んでいる時に偶然聞いてしまった。

順にとっての王子様は、順の王子様ではなかった。順は荷物を置きその場から走り去って行った。
仁藤は薄っすら誰かが居たことを感じたが、順の思いと引き換えに、拓実と仁藤は、お互いの気持ちを言葉にはしなくても、感じ合うようになっていった。

そして、その場から立ち去った順の元に、あの玉子が再び現れる。


歌にせよ何にせよ、順は「喋らない」という約束を破ってしまった。言葉にはしなくても、順は心がおしゃべりなのだ。
自分の気持ちに気付いたものの、「王子様に会いたい」という順の願いは叶わなくなり、呪いによるお腹の痛みではなく、坂上拓実が好きという恋心と、フラれてしまった青春の痛みによって、順の心はぐちゃぐちゃになってしまった。

 

ふれ交当日の事件

待ちに待ったふれ交本番、順の姿はない。拓実にメールで「ヒロインできません」と伝えるだけで、どこにいるかもわからず音信不通だった。


昨夜の拓実と仁藤の会話を聞いたことがきっかけだと、田﨑はいち早く気付いた。するとクラスメイト達は

「痴情のもつれってやつ?」
「ちょっとありえなくない?」
「ちょっとサイテーだよね、成瀬さん」
「頑張って準備してきたのに」

最初はふれ交の文句を言っていたものの、いつのまにか本気になっているクラスメイト。順の気持ちを知っている私たちからしたら、ちょっと酷い言い様だとは思いますが、拓実にまで、「皆でここまで頑張ってやってきたのに、それをぶち壊そうとしてる。それは、本当に酷い裏切りだと思う」と言われる始末・・・。それでも、一番頑張ってきた順がいなければ、ミュージカルは成立しないと、拓実が順を探しに行く事を切り出す。その気持ちを聞いた田﨑の采配で代役を指名して本番を迎えた。
さすがは野球部のエースだけあって、仕切るのはうまいらしい。冒頭のツンツンしていた頃とは大違い(笑)
本番前、主役である順の代役を務める仁藤は、緊張していたが、田崎がうまくリラックスさせ、仁藤も色んな面で覚悟を決めるのだった。後半の田崎は有能すぎます!

順の母も、ふれ交を観に来ており、本番が始まると、主役である順の姿がなく、

「やっぱり、ダメなんじゃない・・・」

と心の中で呟く。

 

始まりの場所でぶつかる二人

拓実も、必死に探すが見つからない。順との会話を思い出し、心当たりを思い出した。
全ての始まりは、父の不倫現場を発見した、山の上のお城(ラブホテル)だ。


今は潰れて廃墟となったホテルの中に、順はいた。

まるで別人になったように、廃人のような、闇落ちしたような姿で座っていた。

拓実は、皆が待ってると連れ戻しに来たが、順はふれ交をぶち壊し、「もう戻れない」と言い返す。

「もう歌えない。私の王子様は、もういないから。」

そして順は、苦しみの胸の内を吐き出す。

「歌ならいいとかダメだったんだ!喋ったり、心が喋ったり、やっぱりダメだった!玉子の言う通り、喋ったら不幸になった!」

「玉子なんて最初からいないだろ!!」

「いるもん!」

「いない!!」

「いる!!」

「いない!!!」

「いないと、困るの!!!」

「舞台もめちゃくちゃにして、家のこともめちゃくちゃにして・・・自分のおしゃべりのせいじゃなかったら、何のせいにすればいいの!?」

おしゃべりのせいにしなければ、自分を保てない。自分を必要だと思えない。自分なんていなくなってしまえばいい。そんな順に拓実は

「成瀬順!!」
「お前、可愛い声してるよな。もっと喋ってくれよ。お前の本当の言葉をもっと聞かせてくれよ。」

「ダメに決まってるでしょ!?言葉は、誰かを傷付けるもん・・・」

「俺を傷付けていいよ。傷付いていいから、お前の本当の言葉、もっと聞きたいんだ。成瀬!」

じゃあ、これから傷付けるから。と、

「優しいふりして卑怯者!ピアノがちょっとできるからって調子にのるな!嘘つき!!」
「思わせぶりなことばっか言って、イイかっこしぃ野郎!」
「それから、あの女!あの女も同罪だ!嘘つき!良い人ぶりっ子だ!ああいうのが一番タチが悪い!」

「うんうん」と聞く拓実。言うことがなくなった順は、まだ呼んだことの無い、拓実の名前を叫ぶ。

「坂上・・・拓実・・・」
「坂上拓実!」
「坂上拓実!!」

すると、拓実は涙が流れる。


拓実も、両親の離婚に責任を感じ、自分の本心を言わないようになったことで、誰かと本当に心を通わせることがなくなっていた。拓実も、順に出会えたことで、自分にも伝えたい気持ちがあることに気付いた。

「俺、お前に会えて嬉しいんだ!お前のおかげで、色々気付けた気がするんだ。」

「私のおかげ? せいじゃなくて?」

「そうだよ!だからやっぱり、玉子なんていない!」

順は、「自分のせい」だと思い続けてきた。「言葉は傷付けるもの」だと。しかし、拓実の言葉のおかげで、順の言葉は人を喜ばせることができる事を知れた。

傷付きたくないから、順のせいにした両親。
傷付いてもいいから、順のおしゃべりのせいにしなかった拓実。

傷付いてでも向き合おうとした拓実だったからこそ、言葉の「せい」ではなく「おかげ」に変えることができたのです。

順は、「本当は玉子なんていなかったんだ。呪いをかけていたのは私。玉子は私。一人で玉子の中に閉じこもっていた私自身だったんだ…」と気付き、自らに課した封印が解けていく。

そして、順は、もう一つ言いたいことがあった。

「私、坂上くんが好き」

「ありがとう。でも俺、好きな奴がいるんだ。」

「うん・・・知ってたよ・・・」

本当に伝えたい気持ちを言おうとしていた公演前日、拓実と仁藤のやり取りをみることになったのです。気持ちを伝える前に振られてしまったことで、再び塞ぎ込み、当日ブッチして、他ならぬ拓実が順を見つけ出し、本当の気持ちに向き合ったことで、汚い自分の腹の内をさらけ出し、順は拓実に気持ちを伝えることができたのです。

順の本当にしゃべりたかった事は、拓実への思いもあったからです。

「本当にしゃべりたいことは言えそうか?」

と言った拓実の言葉が、拓実と仁藤を目撃することとなり、順が塞ぎ込んでしまったからこそ、拓実も自分の本当の気持ちを知ることができたのですね。

 

人のせいにするのは親譲り

子供の順には、両親の言葉を背負うには幼すぎました。だから、「おしゃべりのせい」にして、玉子を生み出し言葉を失いました。人のせいにしたっていい、逃げたっていい。そのかわり、いつか向き合わなければならない。その時にはどうすることもできないなら、逃げたっていいと思います。そうしないと、心が潰れることだってあります。特に若い時期は、背負いきれないものを背負おうとしてしまうところがあります。言ってみれば、「世界」を背負っているような感覚さえあります。厨二病はまさにそれです(笑)
「悪いのは全部自分」「自分は諸悪の根源」ということさえ言ったりします。不思議と「自分のおかげ」というプラスなものより、マイナスなことの方が多いんですよね。
まぁ、落ちるのは簡単ですしね。「光の王」より、「闇の帝王」の方がかっこいいんですかね。厨二病の場合は(笑)

それはいいとして、順がそうやって「おしゃべりのせい」にしたのは、親譲りでもあるのです。
不倫を目撃して、それ以上傷つきたくなく、黙らせた母親。自分が不倫をしといて、離婚したのは娘のおしゃべりのせいにした父親。そういう親だから、順が自分のおしゃべりのせいにするのも、仕方のないことなのかもしれません。

 

向き合えないなら逃げ続けてはいけない

逃げてもいいとは言っても、向き合えないなら、逃げてはいけません。順が向き合わずに逃げ続けていたら、これからも喋ることなく、部屋を暗くし、孤独で寂しい人生のままかもしれません。それを、本心が望んでいるわけはありません。順は心がおしゃべりですからね。ただ、一時は何かのせいにしたっていい。でも、何かのせいにしたのならば、「いずれ向き合う時が来る」ということは、覚悟した方がいいかもしれませんね。

恋愛をするのも、それが目的ではないはずです。付き合えたとしても、幸せになれないなら、しない方がマシです。順が拓実に告白をして、結果振られてしまいますが、大事なのは、付き合うことではなく、幸せになることです。

表面的なことや出来事ではなく、「どう感じるか」ということを忘れずに、物事と向き合っていかないといけないですね。

 

娘の本音が母親の心に突き刺さる

ミュージカルも後半に差し掛かり、娘が姿を見せないことで、母は帰ろうとした。それを、拓実の祖父母が止めるのだが、その直後、

「皆が、お前の声が出ないのを望んでいるんだ!」

というセリフが、母の胸に突き刺さる。

「違う!私そんなこと、望んでなんか・・・」

その時、拓実に連れ戻された順が歌いながら登場する。その歌詞を聴きながら、母は号泣するのだった。

「私の声消えたこと みんな喜んだ みんな私の言葉を嫌ってるから」

初めて聞いた娘の思いが母に突き刺さり、涙が止まらず、私MAXも号泣しています(T^T)

このミュージカルは、順の伝えたい気持ちを表現したものであり、伝えたい相手は、母だったのかもしれませんね。

 

感動のクライマックス

ミュージカルのクライマックスは、順と仁藤による「悲愴」「Over the Rainbow」のダブルミックスのハーモニーで締めくくりますが、水瀬いのりと雨宮天の奇跡のコラボは、ファン大必見です!!

そして、この曲は、苦しんでいた順の苦しみと、願いが込められた、相反する思いが込められています。苦しみだけでも、願いだけでも、本物ではありません。辛い思いと喜びがあるからこそ、それは本物の気持ちになります。その気持ちを、ダブルミックスハーモニーで表現したのは秀逸です。何度も見ていますが、心に響いてきます。

言葉の「せい」だけでも、「おかげ」だけでもなく、両方必要なのです。「せい」にしてしまう事実も認め、「おかげ」にもできるから、本当の気持ちは伝わるんだなと実感します。

 

そして、ラストには、思わぬ展開が待っていました・・・。それは、観てのお楽しみ!!

 

心が叫びたがってるんだ まとめ

子供の頃の辛い経験から、言葉を失った成瀬順。声を出せなくても、伝えたい気持ちはあります。むしろ、声を出せないからこそ、心が叫びたがってるのかもしれません。物語としては、ファンタジー要素もありますが、こういうことは誰にでもあることだったり、もっと深刻なものもあると思います。

多かれ少なかれ、意識的にも無意識的にも、誰にでもトラウマのように深く傷ついた過去があると思います。ただ、この物語のように「声を出せない」ということに捉われるのではなく、その奥にあるものにフォーカスしなければ、声が出せなくなった意味がありません。

それを、誰かの、何かの「せい」にし続けることも、「おかげ」にすることも、その「意味づけ」をどちらにするのかは、各人の意志に委ねられています。

順は「本当の自分と向き合う」ために声を封印したのだと思います。おしゃべりだからこそ、言葉を失うことで、心が叫びたがっている本当の思いに気付くためです。そして、言葉の「人を傷付けてしまう面」と、「人を喜ばせる面」の両方を実感することによって、単なる綺麗ごとではない本当の気持ちを伝えることができるのです。人生も物事も、表と裏、光と闇を知らないと、その本質は見えません。良いところだけを見ても、悪いところだけを見ても、それは本物ではありません。言葉も同様に、傷付けるものでもあり、喜ばせるものでもあります。

「大切なものを知るために、その反対の経験をしなければならない」

そして、

「ネガもポジも、その両方を価値あるものとして認め、統合することによって人は成長していく」

それが、この物語の伝えたいことなのではないでしょうか。

何気ない一言が、一生残ることだってあります。だからこそ、この作品を観て、言葉の重みや伝えたい気持ちというものを、あらためて見つめ直しました。

 

そして、最後に

「人生という名のミュージカルには、奇跡がつきものなんだよ!」

という、しまっちょの言葉で、2018年を締めくくりたいと思います。

 

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