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哀悼 名声優・鶴ひろみさんの功績を讃えて
11月16日夜、鶴ひろみさんは首都高速にて停車中の車内でお亡くなりになりました。
心よりご冥福をお祈りいたします。
まだ57才という若さで、死因は大動脈剥離でした。あまりの突然の訃報に、我々のようなファンはもちろん、まだバリバリの現役でもあられたので、声優仲間の方々の心情は計り知れません。
アニメ好きの声優好きを公言している私にとっては偲ばずにはいられず、哀悼の意を込めて、号外的なコラムで鶴ひろみさんの功績をご紹介していきたいと思います。
鶴ひろみさんの代表作
ドラゴンボール・ブルマ
※ブルマ
ご存知歴代No,1と言っても過言ではない大人気アニメ「ドラゴンボール」のブルマ役を31年に渡り勤めていました。
ブルマと言えば、ドラゴンボールでも第1話から登場し、孫悟空と並んで最も長く登場し続けている重要なキャラです。最初はちょっとお姉さんというキャラで、悟空と一緒にドラゴンボールを探す旅に出るのですが、ブルマが悟空と出会わなければ、ドラゴンボールの物語は動かなかったという、悟空にとっては運命を変えた1人でした。
また、お色気キャラも担当し、亀仙人からは幾度となくセクハラをうけ、時にピチピチギャルとして、お色気を武器にすることもありましたが、何度も体を張っていました(笑)。当時の青少年の好きなキャラ上位だったのは間違いないでしょう。
ストーリー上、ヤムチャと引っ付くと思いきや、ベジータと結ばれたのは、衝撃的でした。ブルマとベジータが結婚することなんて、予想していた人なんているのでしょうか?
そんな風に、ドラゴンボールになくてはならないキャラで、常にドラゴンボールの世界に居続け、忘れられないキャラになったのは間違いないでしょう。
今尚「ドラゴンボール超」にも出演していて、世代交代をするとしてもまだまだ早いですし、鶴ひろみさんのブルマがいてくれると思っていましたが、本当に驚き、残念でなりません。
ストーリーはまだ続くので、どなたかが代役を務めるのだと思いますが、私たちの心の中にいるブルマの声は、鶴ひろみさんなのでしょうね。
ドラゴンボール初期のEDは、ブルマがメインの映像なので、初期の頃のブルマと鶴ひろみさんの思い出とともにご覧ください。
なんだか、今見たら泣けてきてしまいます・・・
アンパンマン・ドキンちゃん
小さい子から、アンパンマンを見て育った大人まで、幅広い人気を誇るドキンちゃん。29年もドキンちゃんを担当し、現役でアンパンマンを見ている子供達にとっても、びっくりでしょうね。
元祖ツンデレキャラのドキンちゃん。可愛くて、ワガママで、愛らしいキャラは、王道のモテキャラだと言えます。男はけっこうああいうタイプに弱いのですが、そんなドキンちゃんを見事に演じ続けてくれて、鶴ひろみさん以外にドキンちゃんは考えられません。
ブルマと全然違う声で、意外と気付かない使い分けができていたように思います。それだけ鶴ひろみさんの演技力が高いことが伺えます。そして、長い年月が経っても変わらない美声でドキンちゃんという子供っぽいキャラを演じ続けてこられたのも、鶴ひろみさんの日々のケアや努力を感じます。
ブルマもドキンちゃんも、可愛くてワガママで、ある意味男にとっては理想にもなるキャラではないかと思いますが、そういう意味でいうと、鶴ひろみさんの声は、男にとっては好かれて、理想にもなる声なのかもしれません。
※ドキンちゃん
らんま1/2・久遠寺右京
私にとっては思い出深い「らんま1/2」でも、らんまのもう一人の許嫁である「お好み焼きの右京」を演じ、らんまファンからも高い人気を誇るキャラでした。
男勝りのキャラ、勝気で強気なキャラですが、ブルマ、ドキンちゃん同様、可愛いが気が強いキャラをやらせたらハマりますね。とは言え、ブルマともドキンちゃんとも違う声色で、右京というキャラをしっかり表現仕切れていたと思います。だからこそ根強い人気のあるキャラになったのではないでしょうか?
※久遠寺右京
GS美神 極楽大作戦‼︎・美神令子
ヒロイン役を務めることが多かったですが、この作品では正真正銘主人公を演じました。当時33歳で、キャリアを積んで、一番脂の乗っている時期だった頃なのではないかと思いますが、少年サンデー原作の人気作品でした。
GS(ゴーストスイーパー)の美神令子がボディコンを着て幽霊退治をする物語なのですが、そのお色気と勝気なキャラを演じられたのは、ドラゴンボールのブルマという役柄を演じた影響があったかもしれませんね。
※GS美神
きまぐれオレンジロード・鮎川まどか
昭和世代には絶大な人気を誇る、主人公が二人のヒロインから想われるという男の妄想系漫画の系譜を創始したといわれるアニメです。鮎川まどかは、いわゆる「ツンデレ美少女キャラ」の走りにもなり、当時の男どもが皆一様に萌えていました(笑)
鮎川まどか役は、元々他の声優にほぼ内定していたそうですが、形式上開催されたオーディションで鶴ひろみさんの声を聞いた関係者が考えを変え、急遽抜擢されたという経緯があったそうです。
ツンデレという言葉がなかった頃のその役にも、違和感なくさらりと、時に年に似合わないセクシーさを演じきった鶴ひろみさんは、ちょうど思春期の少年が年上のお姉さんに憧れるような、僕ら昭和の悪ガキたちの胸をキュンキュンとさせたオトナの女性の声の代表だったと思います。
※鮎川まどか
・・・・・・・
などなど、鶴ひろみさんが演じたキャラクターを挙げればきりがないし、それはウィキペディアを見ていただければ済む話なので、ここでおこがましく全てを紹介することは避けますが、鶴ひろみさんが、声優界になくてはならない存在だったのは間違いありません。
ドラゴンボールやらんま1/2、きまぐれオレンジロードなどは紹介しましたが、「みゆき」や「めぞん一刻」など、少年ジャンプや少年サンデー原作のアニメには欠かせない存在でした。高橋留美子先生やあだち充先生原作の作品にはよく出演しており、GS美神の主演は、その流れもあったのかもしれませんね。
最後に
鶴ひろみさんも言っていたようですが、ドラゴンボールのブルマと、アンパンマンのドキンちゃんは30年ほど担当していたこともあり、ライフワークになっていたそうです。実際、ドラゴンボールもアンパンマンもまだ放送していて、メインの声優を務めていたのもこの2作品だったので、まさにライフワークだったと言えますね。
アニメとしては後任をどうするかが大変だとは思いますが、偉大な鶴ひろみさんの後を任される方のプレッシャーも半端ないでしょうね。
40歳を過ぎた頃からは、アニメの声優よりも、ナレーションの方が多かったのではないかと思いますが、とても聞きやすくて、いつもブルマだなぁと思いながら鶴ひろみさんのナレーションを楽しんでしました。
声優は、基本的には表に顔を出さない仕事ですが、声だけでこれだけ認識される声優さんもそう多くはないと思います。キャラを通してではありますが、これだけ認識されるのは、鶴ひろみさんの魅力によるものだと思います。
間違いなく代わりのきかない声優の一人で、声優界のレジェンドであり、不謹慎かもしれませんが、本当に声優界の神になられたのかなと思います。ありきたりな言い方かもしれませんが、「ワンピース」から引用すると、
「人が死ぬ時は、人に忘れられた時だ」
とするなら、鶴ひろみさんの声はいつまでも誰の心にも残ると思うので、鶴ひろみさんの存在は決して死ぬことはないのだと思います。
正直、実際の鶴ひろみさんがどういう方かはわかりませんが、人は、亡くなり方でその人の生き様がわかると言います。大動脈剥離が死因だったそうですが、医学的には、とてつもない激痛だそうで、運転中に発病して、そのまま亡くなり事故を起こすことも少なくないそうです。そんな病気を運転中に発病したにもかかわらず、車を路肩に停めてハザードを点けて、亡くなられました。その時の状況は、誰にもわかりませんが、激痛で苦しむ中、下手したら大事故になり死傷者を出していたかもしれない状況で、きっと必死で車を止めてハザードまで点けたのだろうと推測されます。
らんま1/2の「シャンプー」やアンパンマンの「バタコさん」を演じた、声優仲間の佐久間レイさんは、そんな間際を「鶴ちゃんらしい」と述べていますが、きっとその言葉通りの人柄なのだと思います。亡くなる直前、激痛の最中に中々できることではありません。本当に尊敬しますし、その人柄と功績を少しでも残すことができるように、今回は号外としてコラムにさせていただきました。
鶴ひろみさん・・・
心に残る素晴らしいキャラと出会わせていただきました。
そして、僕らアニメ少年たちに色んな夢を見させてくれました。
あなたの声、生き様は、きっとたくさんの方の心に残ると思います。
本当にありがとうございます。
心から、ご冥福をお祈りいたします。
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