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【訃報】さくらももこさん逝去 〜日本を代表するアニメ『ちびまる子ちゃん』を讃えて〜
2018年8月15日、国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』の生みの親であるさくらももこさんが、乳がんにより53歳の若さでお亡くなりになりました。ニュースが飛び込んできた時は、驚きを隠せませんでした。そのような病気だったことも知りませんでしたし、きっと多くの方が驚き、悲しみを感じたのではないかと思います。代表作の『ちびまる子ちゃん』は、30年近く放送をしてきた国民的アニメなので、一度も見たことがない人はほとんどいないのではないでしょうか。
不謹慎と捉えてもらいたくはないですが、『ちびまる子ちゃん』を見て育った者として、お悔やみを申し上げる代わりとして、『ちびまる子ちゃん』を大いに讃えたいと思います。
ちびまる子ちゃんの歴史
ちびまる子ちゃんは、原作は『りぼん』に1986年に掲載され、テレビアニメは1990年1月7日に放送が始まりました。1992年9月27日に一度放送終了し、1995年1月8日から放送が再開し、現在に至ります。2年3ヶ月放送していない時期がありますが、日曜6時と言えば『ちびまる子ちゃん』ですよね。『おどるポンポコリン』のOPが流れると、日曜の夜が始まったなぁと思ったものです。(ちなみに、『おどるポンポコリン』は、今でこそOPですが、放送当初はEDテーマでした)
当時は『サザエさん』が始まると、あぁ、明日からまた学校かぁ~と思ってましたが、不思議と『ちびまる子ちゃん』は、そう思わなかったんですよね(笑)
今後も放送が継続するそうなので、あの昔懐かしの愛すべき世界はこれからも観られます。
ちびまる子ちゃんの世界
ご存知だと思いますが、ちびまる子ちゃんはさくらももこさん本人がモデルとなっています。ご自身の思い出、経験が元になっています。舞台は1974年(昭和49年)の静岡県清水市で、まる子は3年4組です。アニメの世界ではよくある「永遠の3年生」という、サザエさん然り、ドラえもん然り、クレヨンしんちゃん然りの設定となっています。必ずしもその全てが経験、事実ではないとは思いますが、さくらももこさんの世界に代わりはありません。
昭和の古き良きアニメなので、大人の方にとってはどこか懐かしい、あるあるのような感覚があるのではないでしょうか?子供からしたら、昔はこんなんだったの!?っていう思いや、単純に面白いと思って見ているのでしょうね。時代は変わっても、子供にとっては変わらないものがある、ということなのでしょうね。その理由に、子供向けのアニメは、「長寿アニメが多い」ということが言えます。『ちびまる子ちゃん』はもちろん、先に述べた『ドラえもん』『サザエさん』『クレヨンしんちゃん』や『アンパンマン』は、どれも20年以上続いているアニメです。
なぜこんなに長く続くのか。それは「時代が変わっても、変わらないものが描かれている」からだと思います。アニメに限らず、お笑いのギャグなんかは、ピンポイントに一定の世代には、受け続けることが可能です。6歳までだったら、常にウケることは可能です。小島よしおさんは、ターゲットを完全に子供にしたそうですが、個人的には潔くて好きです。そして、子供と関わることが多い私にとっては、子供にウケるネタにはとても助けられています(笑)今はひょっこりはんが大活躍です(笑)
ちょっと話が逸れましたが、『ちびまる子ちゃん』の世界には、きっとどの世代の子供にとっても必要なこと、学ぶべきこと、笑えることがあるんだと思います。それが、色褪せることのない『ちびまる子ちゃん』の魅力なんだと思います。
ちびまる子ちゃんの持つ記録
ちびまる子ちゃんの最高視聴率は、なんと、39.9%!これは凄い数字ですよね。サッカーW杯とか、野球のWBCとか、そういった日本を代表するようなイベントじゃないと見られないような数字です。ちなみにこれは、アニメの歴代2位の視聴率です。1位は40.3%の鉄腕アトム、3位は39.4%のサザエさんです。どれも国民的アニメと言える作品ですね。もうこんな視聴率のアニメは出てこないかもしれませんね。
名物キャラの宝庫
ちびまる子ちゃんと言えば、名物キャラが多いですよね。まる子はもちろん、さくら家の皆さん。親友のたまちゃんを始めとしたクラスメートたち。どのキャラも個性が強く、名言が多いのも特徴です。名言と言うか、口癖が名言と化したと言えますが、キャラ×口癖=名言となるいい例かもしれないですね。
そんな名物キャラの方々を、一部ご紹介していきます。
さくら家
ももこ(まる子)
お調子者で、トレードマークはおかっぱ頭に白いシャツに赤い吊りスカート。口癖は「◯◯だよ」。とても子供っぽくわがまま。妹気質らしく、いかに楽して得するかを考えている。のんきでルーズな性格で、勉強もあまり得意ではない。寝坊することが多く、さぼりたがり。面倒くさがりだが、好きなことには没頭するタイプで、いわゆるADHD(多動性障害)なのかもしれません。こんなまる子がとても可愛らしくみえるのは不思議である。おそらく、さくらももこさんが自分自身を愛して描いているからかもしれませんね。
ひろし(父)
家ではいつもタバコを吸い、ビールを飲んでいる。いい加減でデリカシーがない。決して裕福な家ではないため、「◯◯買って!」と言われても、何かと理由をつけて断っている。よく言えば昭和の頑固親父。立派な父親ではないかもしれないが、どこか憎めないのは、まる子が似ている所があるからでしょうか。
すみれ(母)
よくまる子を怒る印象があるが、基本は優しい。いつも台所にいるイメージがある。肝っ玉母ちゃんとは言わないまでも、しっかりしていて、決して裕福ではないさくら家を支えている。
さきこ(姉)
まる子の3つ上の6年生だが、まる子に比べてとても大人っぽくみえる。まる子とは正反対のしっかりもの。まる子とは同じ部屋なので、しょっちゅうケンカしているが、母親同様、いざという時はまる子を守る優しい姉。おさげが特徴的。
友蔵(祖父)
頭が薄く、まる子の一番の理解者であり味方である。まる子がわがままなのも、友蔵が甘やかすからかもしれない。俳句好きで、何かがあると心の中で「友蔵心の俳句」を詠むが、たいてい川柳(笑)
こたけ(祖母)
今まで名前を知らなかった(笑)優しく穏やかな祖母。友蔵には時に鋭いツッコミを入れる時があるが、とても優しく理想的な祖母。さくら家の癒し系。
クラスメート
穂波たまえ(たまちゃん)
まる子の良き理解者であり親友。とても優しく、勉強もできる。丸メガネとお下げ特徴で、お父さんはたまちゃんに溺愛しており、たまちゃんの写真を撮るのが趣味で、ストーカー気味(笑)そんな父には唯一厳しく怒鳴る。
花輪和彦(花輪君)
ザ・お金持ち。豪邸に住み、紅茶を好むジェントルメン。穏やかな性格で、決して裕福であることをひけらかさない。キザな性格で「ベイビー」と語尾につける口癖は、一度は真似したことがあるのではないでしょうか(笑)
丸尾末男(丸尾君)
3年4組の学級委員。ザ・真面目。メガネを掛けていて、坊ちゃん刈りが特徴。曲がったことが許せない至って真面目なタイプ。「ズバリそうでしょう!」が口癖で、何度も真似したことがあるのではないでしょうか(笑)
浜崎憲孝(はまじ)
クラスのムードメーカーで、いつもボケて皆を笑わせる。まる子とも仲良く、信頼している。お笑い担当だが、実はいい奴で、人情に厚いところもある。時に見せる優しさは、ギャップからか格好良く見えることも。(2002年に『僕、はまじ』という自伝を出版している)
富田太郎(ブー太郎)
語尾に「ブー」とつけるありえない少年(笑)小太りで豚のような顔をしていて、アニメだから許されるが、現実ならコンプライアンス問題になりそう(笑)はまじ同様、クラスのムードメーカーでお笑い担当。
永沢君男(永沢君)
胃腸が弱く、プレッシャーに弱い。タマネギ頭とそばかすが特徴。少し暗くてネガティブだが、それは家が火事になってしまった以降だと言われている。それまでは、明るく元気だったそう。嫌味や皮肉を言うこともあり、空気を悪くすることも。口癖は「そうなのかぃ?」。個人的によくモノマネをしていました(笑)
藤木茂(藤木君)
少し暗い性格で、唇がいつも青い。クラスメートからは「卑怯者」と言われているが、肝試しでまる子を置いて逃げたことから、そう言われるようになった。永沢、山根とは仲がいい。
山田笑太(やまだ)
いつも笑っている、バカ丸出しの少年。素直で陽気な性格だがどこか憎めない。自分のことを「おで」と言ったり、語尾に「だじょー」と言うことが多く、滑舌はよくない。
みぎわ花子(みぎわさん)
花輪君を好きな女の子。決して美人なタイプではないが、ファッションはピンクやフリルものが多く、オシャレに気を使っている、が似合っていない。成績は優秀だが、時にヒステリックになる。面と向かっては言えないようなこと満載の、クラスに一人はいるような象徴的なタイプのブスキャラ。あ、言っちゃった(笑)なぜなら、実在しないキャラなのです。
野口笑子(野口さん)
その名前とは似つかない、見た目は暗い無口なタイプだが、名前の通りお笑い大好き。口癖は「クックックック」と不気味な笑い。お笑い好きなまる子とは気が合う。人間観察が得意なので、将来はお笑い芸人になったら、友近とかそんなタイプになれそう。
皆、キャラが立っていて、まる子の世界には欠かせませんね。皆、身近にいそうな愛すべきキャラたちです。というより、実在している、というのがさらに不思議な感じがしますよね。
ちびまる子ちゃんの豆知識
・時々登場するクラスメートのケンタ君は、元サッカー日本代表で現FC東京の監督をしている長谷川健太さん。
・アニメにおいて、ドン引きした時に、線で影を表す手法を用いたのは、『ちびまる子ちゃん』が先駆けである。
・さくらももこさんと、まる子の声を担当しているTARAKOさんは、声がそっくりである。
・まる子が中学生になり、高校生、漫画家になるという続編も描かれている。
などなど、ご存知でしたか?漫画では、小学生だったまる子のその後も描かれますが、あの小さかったまる子が、成長し、恋をし、漫画家を目指し、親友との別れがあり、大人になったまる子が、自分自身を題材に漫画を描く。その描かれる子供のまる子を私たちは見てきました。そして、今私たちが見ているまる子が、そうやって成長して漫画家になって自分自身を描くんだなと思うと、とても感慨深いものがあります。そのまる子が亡くなってしまったというのは、やはり寂しいですね。
ちびまる子ちゃんの実写
『ちびまる子ちゃん』は何度か実写化されていますが、今年に入りトヨタ・トコットのCMで、俺たちの吉岡里帆さんが22歳になったまる子を演じています。可愛い過ぎですね〜。まる子の髪型と口癖そのままに、「余裕のよっちゃんだよ♪」というセリフが、大人になっても変わらないまる子を演じてくれています。このCMを制作するにあたり、さくらももこさんの確認はとっているはずなので、ある意味、さくらももこさんの遺作とも言えるのかもしれません。
錚々たるアーティストが担当する主題歌
ちびまる子ちゃんと言えば、名曲の宝庫でもあります。大御所アーティストから、今なお残る名曲の数々を、一部ご紹介いたします。
おどるポンポコリン:B.B.クイーンズ
走れ正直者:西城秀樹
あっけにとられた時のうた:たま
ハミングがきこえる:カヒミ・カリィ
KinKiのやる気まんまんソング:KinKi Kids
100万年の幸せ!!:桑田佳祐
花はただ咲く:坂本冬美
すばらしき人よ:和田アキ子
おーい!!:ウルフルズ
などなど、知ってる人にとっては、あぁ!あの曲!と思うものもあれば、知らない人からしたら、そうなの!?と思うものもあります。個人的には、今年亡くなられた西城秀樹さんの『走れ正直者』なんかは思い出深いですね。当時小学生でしたし、とても流行ってカラオケでもモノマネしながら歌ったものです。
さくらももこさんが何曲か作詞していて、『おどるポンポコリン』もさくらももこさん作詞です。「ピーヒャラピーヒャラ♪パッパパラパ♪」って、もの凄い歌詞ですよね(笑)このフレーズが出てくるさくらももこさんは間違いなく天才です。さすがはエッセイストとも言えるかもしれません。
アニメはこれからも続くので、どんなアーティストが名曲を残してくれるのか、楽しみです。
最後に
あまりに突然の訃報で、残念でなりません。訃報があってから、様々なメディアで放送され、関係者の方々のお悔やみの声が多数寄せられ、さくらももこさんがどれだけ愛されていたかということが伺えます。
最近は、『ちびまる子ちゃん』を見る機会は減ってしまっていましたが、子供の頃から慣れ親しんだ『ちびまる子ちゃん』は、確かに私の中にいますし、皆さんの中にもいるのではないでしょうか?
53歳という若さでお亡くなりになり、どのような人生だったのか、幸せに旅立てたのかはわかりませんが、私たちが知っている「ちびまる子」という少女が、大人になって漫画家となり、自分の子供時代を描き、自分自身を作品にされました。不思議なもので、まる子を知ることが、さくらももこさんを知ることでもあり、私たちの中で生き続けます。
これからも、『ちびまる子ちゃん』を見て育ってきた大人の中で生き続け、これから見て育つ子供の中で生き続けるのだと思います。これこそが、アニメの持つ力なのかもしれませんね。
さくらももこさんは、メディアにはほとんど出ることがなく、顔出しNGにされていたので、さくらももこさんの画像は差し控えさせていただきます。知人ではない一視聴者の私たちに対しては、「ちびまる子」として覚えていて欲しいと思われているのではないかと思っております。さくらももこさんの生き様は、「ちびまる子」として生きてますから。
さくらももこさんのご冥福を、心よりお祈りいたします。そして、私たちを楽しませてくださって、本当に有難うございました。
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