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HUNTER×HUNTER特集 第3弾 ヨークシンシティ編〜幻影旅団の登場〜
HUNTER×HUNTER特集 第2弾のおさらい
天空闘技場の戦いで、「念」を覚えたゴンとキルア。
ハンター試験に合格したが、念を習得することが裏ハンター試験であり、念を教えたウイングは、念を教える心源流の師範代だった。
念を覚えたゴンはヒソカと戦うことになり、試合では負けるものの、ヒソカに渾身のパンチをくらわし、ハンター試験の借りを返すことができた。
目的を果たしたゴンは一度、キルアを連れてゴンの故郷、くじら島に帰省する。
詳しくは、前回のコラムで!
くじら島での休息とジンのメッセージ
ハンター試験合格を知らせるために、ゴンはキルアを連れてくじら島に帰省する。
そこで、ミトからジンの昔話を聞く。そして、ジンが残した鉄の箱を渡された。
それは、念で開く特別製の箱で、中にはジンのメッセージテープがあった。
「俺に会いたいか?ハンターなら、自分の力で探し出せ。」
さらに、ジンが作ったグリードアイランドというゲームのメモリーカードと指輪が入っていた。ゲーム本体の金額はなんと、58億ジェニー!(約58億円)これくらい手に入れてみろ!という意味でもあった。
ジンのメッセージを受け、仲間との再集結の地、ヨークシンシティにて、グリードアイランドのオークションもある為、休暇を過ごしたくじら島をあとにする…
ヨークシンシティ編
ゴンキルの2人は、仲間のクラピカ、レオリオと合流するために、ヨークシンシティにやってきた。
ここでは年に一度のオークションが開催され、この年はジンが作ったゲーム「グリードアイランド」も競売に掛けられる。
その最低落札金額は89億ジェニー。天空闘技場で稼いだものの、流石にそんな大金があるわけなく、競売によってお金を稼ごうとする中で、新たな出会いや発見をしていく。
そして立ちはだかる幻影旅団(クモ)の存在は、HUNTER×HUNTERの物語に欠かせない展開になっていきます。
ヨークシンシティ編の見所
幻影旅団(通称クモ)の登場
ヨークシンシティ編は、盗賊集団である幻影旅団(蜘蛛)を中心に動いていきます。
団員全員が集合するのも三年振りで、それだけ今回のオークションを狙う真剣さが伺える。
ヒソカの情報から、クラピカは、自分の部族を殺された幻影旅団を捕らえるための念能力を身につけ、情報収集も兼ねて自然に幻影旅団を追えるようにマフィアに所属することになった。
幻影旅団の目的は「盗み」であり、その為に人を殺すことは厭わない。
その強さは、マフィア界のトップである十老頭が抱えている武闘集団「陰獣」を軽く蹴散らすほど。
念能力者としても、おそらく各人トップクラスの強さと言える幻影旅団。そのメンバーは、一人一人がとても魅力があるキャラクターとなっています。
魅力のあり過ぎる敵キャラ
面白い作品には、必ずと言っていい程、敵キャラに魅力があります。
人気になる敵キャラは大抵、後から仲間になるか、より悪者に徹するかのどちらかです。
幻影旅団は、間違いなく後者ではあり、高い壁としてそびえているとともに、必ずしも倒さなきゃいけないというキャラでもないのが面白い所です。
大体の敵キャラや悪役は、「倒されることを持って良し」とされていますが、幻影旅団は少し違います。
現状ゴンがまだクモ程強くないということもあるし、ゴンに倒す理由がないということもあります。そもそもゴンよりもクラピカにとって倒すべき相手であるので、幻影旅団を倒すことを目的としてなかったり、何ならクモの活躍まで描かれてしまいます。
まぁ団員の中には、死んだ仲間の為に涙を流す人情を見せるような、必ずしも「絶対悪」ではないものの、HUNTER×HUNTERを面白くする「必要悪」ではあるので、残虐であったり、悪役には間違いありません。
そんな悪役でも魅力的に輝かせられるのが、冨樫の手腕ですね!
幻影旅団の構成と能力
幻影旅団は13人によって構成されており、蜘蛛の足は12本。頭はクロロ。
「生かすべきは、個人ではなくクモ」
団員のほとんどが、流星街という、記録にはないが一千万人はいると言われている特殊なコミュニティ出身者がほとんど。
元々はゴミ捨て場で、そこには物も人も武器も捨てられていき、いつの間にか人が住み着くようになりスラム街と化していった。
その特殊な環境は、独特の価値観や人間関係を生み出し、「他人より細く、家族より太い」と言われている。その流星街出身だからこその、独特な人間関係が旅団にはある。
幻影旅団・団員メンバー
最新情報と合わせて、ヨークシンシティ編での団員編成を紹介していきます。
No.0 クロロ=ルシルフル
旅団の団長。流星街出身。クロロの指示でクモは動く。団長の命令は絶対。
特質系の念能力者で、念能力は「盗賊の極意(スキルハンター)」。条件を満たすと能力を奪い、本の中に記され、そのページを開くと能力を使うことができる。盗んだ相手が死ぬと、能力の記載は消え、能力は使えなくなる。
あのヒソカが、クロロと戦いたいが為に旅団に入ったほどに、その強さも相当なもの。
モデルはバンパイア。ラルクのhydeにも似ている。その名前はおそらく「堕天使ルシフェル」からきているものと思われる。
No.1 ノブナガ=ハザマ
強化系能力者。具体的な念能力は披露されていないが、日本刀を使い、半径4メートルの「円」を使うことができる。旅団の腕相撲ランキングでは、9番目。
流星街出身で結成時のメンバー。相棒のウボォーギンを殺した鎖野郎(クラピカ)に復讐を誓う。ゴンの事を個人的に気に入っている。
モデルはもちろん織田信長。
No.2 フェイタン=ボートオ
変化系の能力者。能力は、「許されざる者(ペインバッカー)」。受けた痛みを相手に返す復讐能力で、キメラアント編で「太陽に灼かれて(ライジングサン)」という能力を発動しているが、その威力は辺り一帯を巻き込むほど。
流星街出身で結成時からのメンバー。仕込み刀を使い、敏捷性が高い。
中国人風な言葉遣いをしていて、拷問好きの拷問担当(ドS 笑)
モデルはキョンシー。
No.3 マチ=コマチネ
変化系の能力者。オーラを糸状に変化させる能力「念糸」を使う。追跡に使ったり、「念糸縫合」という能力で、千切れた腕を縫合する事ができ、高いお金でヒソカもマチに念糸手術によって腕を繋げてもらった。
流星街出身で結成時からのメンバー。勘が鋭く、クロロからも信頼されている。早くからゴン達の事を勘によって疑っている。
モデルは雪女。
No.4 ヒソカ=モロウ
変化系の能力者。念能力は、「伸縮自在の愛(バンジーガム)」と「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)」。
クロロと戦う為に旅団に入ったが、それは偽りの姿で、旅団員はクモの刺青をするが、ヒソカはドッキリテクスチャーでごまかしている。
後に、キルアの弟カルトが入れ替わり入団するが、なぜか入れ替わりの多いNO.4。
モデルは死神。
No.5 フィンクス=マグカブ
強化系の能力者。能力は「廻天(リッパーサイクロトロン)」で、腕を回す程、威力が増すが、イマイチ加減がわからない。おそらく、腕を回しすぎると、自分の体が耐えられないだろうと思われる。
流星街出身で結成時からのメンバー。副リーダーのような立ち振る舞いをするが、決して副リーダーではない。理性的なタイプではある反面、挑発に乗りやすいところもある。
モデルはスフィンクス。
No.6 シャルナーク=リュウセイ
操作系の能力者。「携帯する他人の運命(ブラックボックス)」という能力で、針を刺した相手を、携帯電話を使って操作することができる。操作対象が死ぬと、操作はできなくなる。
流星街出身。旅団の中でも情報収集班で、ハンターライセンスも持っている。見た目は好青年。
モデルはジキルとハイド。
No.7 フランクリン=ボルドー
放出系の能力者。念能力は「俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)」。指先を切り落とした事で、威力が増し、一発で人を撃ち抜くほどの威力がある。これは、制約と誓約によるもの。
流星街出身で結成時からのメンバー。ヒソカ式オーラ診断によると、放出系は大雑把とのことだが、どちらかかというと団員の中でも冷静沈着なタイプで、興奮するメンバーを落ち着かせられる一面を持つ。
モデルはフランケンシュタイン。
No.8 シズク=ムラサキ
具現化系の能力者。「デメちゃん」という、生物以外は何でも吸える掃除機を具現化する便利な能力を持つ。
旅団の中でもレアな能力者の為、戦闘よりも守る事を優先される。
メガネっ娘で可愛い。ゴンに腕相撲で負ける(利き腕じゃない為)。忘れっぽい性格で、おっちょこちょいでもある。
モデルは魔女。
No.9 パクノダ
特質系の能力者。触った相手の記憶を探ることができる。「記憶弾(メモリーボム)」という能力使って、相手に銃弾を撃ち込むと、自分の記憶を共有させることもできる。
旅団でもレアな能力で、戦闘よりも守る事が優先される。
その能力故、クラピカに狙われる。クロロと仲間を守る為、命と引き換えにクラピカの情報を仲間に伝える。
モデルはサキュバス。
No.10 ボノレノフ=ンドンゴ
具現化系の能力者。念能力は「戦闘演武曲(バト=レ・カンタービレ)」。ギュドンドンド族出身で(架空の部族だが、なぜか部族名を言いたくなるw)、生まれながらに身体中に穴を空け、音を奏で戦う。奏でる音で念を具現化系させる。「序曲(プロローグ)」「木星(ジュピター)」などがある。
モデルはミイラ男。
No.11 ウボォーギン
強化系の能力者。旅団1の怪力で、強化系を極めた強さを持つ。とてつもない威力の「超破壊拳(ビッグバンインパクト)」を使う。ただの念を込めたストレートと言われるが、「硬」を使ったパンチに間違いない。その威力は小型ミサイルほど。
流星街出身で結成時からのメンバー。クラピカとのタイマン勝負で、クラピカのエンペラータイム(絶対時間)によって殺される。旅団1の強化系故に、クラピカの能力で旅団を倒せる証明にもなった。
「凝」を怠り、クラピカの「隠」を見破れなかった為には負けた為、ネットでは大した事なかったんじゃねーかと叩かれてしまう。
モデルは狼男。月を背景にした象徴的なシーンもある。
No.12 コルトピ
具現化系の能力者。念能力は「神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)」。左手で触ったものを、右手で具現化することができる。生物や念で作られたものは具現化できない。具現化した物は、「円」の効果もあり、どこにあるかなどを確認することができる。それによって、具現化された「緋の目」を所持していたスクワラの場所を突き止め、クラピカの正体が知られてしまい、スクワラは殺されてしまう。彼女のエリザがかわいそう。
モデルは鬼太郎。
クラピカの念能力
クラピカの念能力をもう少し詳しく紹介していきます。
親指の癒す鎖(ホーリーチェーン)
強化系の能力で、怪我などを治す治癒力を強化することで、傷を治す能力。ウボォーギンにビッグバンインパクトをくらい、ガードした腕の骨が粉々になっても、この能力によってすぐに完治させてしまった。
束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)
幻影旅団限定の能力。捕らえた対象の念能力を強制的に「絶」にする。「幻影旅団以外に使用したら死ぬ」という「制約と誓約」によって可能にした能力。ウボォーギンを捕らえた時、一対一で戦った時に、一通り試したいことをやってから、「隠」を駆使してウボォーを捕える。圧倒的なパワーを誇るウヴォーでも、絶の状態では、クラピカの攻撃が効くことを実証でき、ウボォーを倒すことができた。幻影旅団相手にチェーンジェイルさえ決まれば、倒すことができる驚異的な能力と言えるが、クモではない相手に使えば死んでしまう為、リスクの大きい能力でもある。
導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)
ダウジングのような能力で、銃撃を受けても鎖が銃弾を受け止めたり、ウソ発見器のように、相手に質問をしてウソを見破ることができたり、人を探す時に地図にかざすと居場所を知ることができる便利な能力。
律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)
相手の心臓に誓いの念の剣を突き刺し、約束を破ると相手を殺す能力。幻影旅団限定の能力で生み出したが、チェーンジェイルをクモ以外に使用した時に、自らを殺す為に自分の心臓にも誓いの剣が刺さっている。自分はクモではない為、矛盾が生じるが「緋の目」になった時に限り、使用できるという条件をつけたことで、誰にでも使えるようにはなった。ウボォーに誓いの剣を突き刺し、質問に答えなかった為、ウボォーは殺された。そして、人質になってしまったゴンキルとクロロの人質交換をする際に、念能力を使ったら死ぬというルールを課せてクロロに誓いの剣を突き刺し、パクノダにも、秘密を仲間に話したら死ぬというルールを課せて誓いの剣を突き刺した。パクノダは、命と引き換えに、クラピカの情報を仲間に知らせ、死ぬのだった。
盗む人差し指の鎖(スチールチェーン)
現在少年ジャンプで掲載されている「王位継承編」でついに明かされた最後の能力。アニメしか見ていない人は知らない能力ですが、他人の能力を奪い、さらに使うこともできる能力。ある意味、幻影旅団のクロロと同質の能力という、皮肉な能力に感じます。
絶対時間(エンペラータイム)
クラピカが、クルタ族の特徴である、火のような明るい紅色に染まった「緋の目」になった時に発動する特質系能力。他系統の能力を100%引き出すことができる。これにより、治癒力が増大し、骨が粉々に砕けてもすぐに直してしまうほどになる。また、ジャッジメントチェーンを使用するには、緋の目にならないと使えない。
エンペラータイムを使うと体の負担が大きく、ウボォーを倒し、クロロを捕らえ、一連の戦いが落ち着いた時、2日間寝続けるほどだった。それでも体力が回復しないほど反動が大きい。
原作で掲載中の「王位継承編」では、エンペラータイムを1秒使うごとに、1時間寿命が縮むというリスクがあることが明かされた。まさに自分の命を削って発動する能力。スチールチェーンを使う際も、緋の目にならないと使えないが、発動中は強制的に緋の目になってしまうというリスクもある。クラピカの寿命が心配・・・
クラピカの名前の由来
モデルになったのは、「風の谷のナウシカ」に出てくる「王蟲(オーム)」であることは、特集第1弾のコラムに前述しましたが、クラピカの名前は、暗(クラ)光(ピカ)からきており、相反する意味を含んでいます。同胞を幻影旅団によって虐殺され、復讐にかける闇の部分と、仲間を守りたい、助けたいと思う光の部分を持ち合わせています。ゴンとの出会いがなければ、クラピカは復讐のために生きるだけだったかもしれません。ゴンに出会ったことで、光を見出したのではないかと思います。
制約と誓約 = コミット力(覚悟)
ゴンたちと同時期に念を覚えたにも関わらず、クラピカの念能力の完成度が異常に高く、ヒソカ並みの強さを持つ幻影旅団を倒せる程の強さを身につけた秘密は、この「制約と誓約」にあります。
念能力にルール(制約)をつけとリスク(誓約)を背負うことで、念能力の威力を飛躍的に伸ばすことができ、複雑な能力にすることも可能になります。
念において、この「制約と誓約」がとても重要です。クラピカの能力は、リスク(誓約)が大き過ぎると言えますが、ルール(制約)くらいはつけないと、強者に太刀打ちができないかもしれません。
考え方においても、この「制約と誓約」はよくできているとい思いますね。これは身近なことでいえば「コミット力 = 覚悟」ともいえるものだと思います。
念に限らず、ルールとリスク(制約と誓約)をつけることは重要なことです。これは私たちの人生に関しても応用できる考え方ですね。
例えば、ダイエットをするとしたら、「夜9時以降は食べない」「糖質を制限する」などのルール(制限)と、「もし痩せなかったら大事なものを捨てる」というリスク(誓約)をつけたとしたら、よりその事にコミットして取り組めるし、効果もさらに上がると思います。なんか変な例えですが(笑)…、身近なところで例えると、そういう効果があると思います。
実際に念は使えなくても、あなたも何か欲しいものや得たい結果がある場合に「制約と誓約」を設けることで、より大きなリターンが得られるかもしれませんよ!
多様な念能力
幻影旅団以外にも、念能力の使い手が増えています。
クラピカがいるノストラードファミリーにも、プロハンターとプロ以外でも念を使えるキャラがいます。
ノストラードファミリー
天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)
ボスであるネオン=ノストラードの占いの念能力。特質系の能力者だが、ハンターではない。「銀河の祖母」という占い師に影響を受け占い師になる。ノストラードファミリーは、マフィアの中でも成り上がりと言われている為、能力が使えるようになって長くはないと思われる。人体収集家の面があり、そこをクラピカは注目したが、独特な感性の為、能力に目覚めたと思われる。その名前と能力から、「ノストラダムス」が名前の由来でしょう。
名前と生年月日がわかればその人の未来が占える。4〜5の四行詩からなり、その月の週ごとに起こる出来事を暗示している。回避しようとしなければ、100%当たる。自分の未来は占えない為、それが制約になっていると思われる。
クロロと接したときに、この能力を奪われてしまう。
180分の恋奴隷(インスタントラヴァー)
クラピカの同期であるヴェーゼの操作系の念能力。キスをすることで、180分間相手を操作(支配)することができる。SM女王様のような能力者。クラピカにも「なんて恐ろしい能力だ…」と言わしめたが、男なら一度は味わって見たいものだ(笑)
オークション中、幻影旅団の襲撃に遭い死亡。残念。
流離の大俳人(グレイトハイカー)
クラピカの同期であるバショウの念能力。おそらく具現化系と思われるが、特質系とも言われている(作中名言はされていないが、クロロとネオンが特質なので、バショウも特質だと、出過ぎ。)。自分が記した俳句の内容を実現させる能力。俳句の出来によって効果が変わる。一部では最強の念能力とも言われている。制約と誓約によっては、それも可能かもしれない。
縁の下の11人(イレブンブラックチルドレン)
クラピカの先輩シャッチモーノの放出系の念能力。黒子風船に念を込めて操作する。ノストラードファミリー護衛への登用審査と、フランクリンのダブルマシンガンを防ぐ際に使われたが、フランクリンの攻撃を防ぎきれずあっけなく死亡。
ヨークシンシティ編での注目すべきシーン
ノストラードの親子関係
ネオンを道具としてしか見ていない父ライト=ノストラード。娘の占い能力によって、一気にのし上がった為、一部のマフィアからはやっかみを受けている。ライト自身も、この能力さえあれば、と思っており、できる限りネオンのご機嫌を取るようにしている。しかし、あくまで能力有りきで、自分がのし上がる為に、娘を愛しているというより、能力を愛しているように見受けられる。ネオンの能力がなければ成り上がることができなかったのは、ライト本人もわかっているため、ネオンの安全を第一に考えているが、それはあくまで自分にとって必要な「能力」だからである。心の中では、娘のことを「コレ」と呼んでいるクソ親父なのです。
そんな強欲な父だからこそ、人体収集家という歪んだ面を持ち、買い物で護衛を振り回すところは、父譲りなのかもしれない。
オークションに関してはボスはネオンだが、実質は父ライトが指示を出している。護衛のリーダーが幻影旅団に殺されたことで、クラピカがリーダーを受け継ぐことになり、護衛を取り仕切るが、その時には既に、ネオンの能力はクロロに奪われている。
ヨークシンシティ編では、その後の状態は描かれないが、占いの能力が使えない以上、どうなるかは目に見えている。
ゴンの人間力に魅せられたゼパイル
凝を使って、念が込められた商品を買い、高く売る「念でボロ儲け作戦」により、木造蔵という、知る人ぞ知る宝石が入った木の作り物(冨樫の創作)を買うことができた。
木造蔵は、隠し財産に使うもので、宝石を隠したり取り替えたり、様々な隠し技がある。それは決して褒められることではないが、ゴンにとっては、未知なる情報で、ワクワクしながら、協力してくれたゼパイル(古物商&元贋作師)の話を熱心に聞くのだった。
木造蔵
ゼパイルは、そのゴンの悪にも善にも染まらない純粋な好奇心に惹かれ、いつの間にか自然と心を開き、ゴンたちに協力するようになる。何より、自分が作った贋作を、理由はどうあれ価値を認めてくれたことが、何より嬉しかったのだ。
ここにまた、ゴンの天性の人たらしによって、ゴンの犠牲者…ではなくて、協力者が増えたのだった^^;(笑)
人は誰しも「承認欲求」があります。もしかしたら、三大欲求を除いた最も強い欲は、この「承認欲求」なのではないかと思っています。
今は、個性の時代だとか、オリジナリティの時代とか言われ、SNSなどのソーシャルネットワークが広がったのも、より個人の「承認欲求」が強まり、必要と認識されているからだと思います。
ゼパイルは、自らが作った贋作の壺を、ゴン達は念が出ていたことで、「変な壺」と言いながら価値を感じた。だから買おうとしていたが、ゼパイルにとっては、恥ずべき自分の作った価値のない過去の贋作を買い取りたいだけだった。
ただ、ゴンはこれだけ念が溢れるほどの作品を作った人は、本当に凄いんだと素直に思ったことが、ゼパイル本人に伝わり、自分の価値や能力を承認されたことが、一番の喜びだったのでしょう。
だからこそ、無償でもゴンの助けになりたいとまで思ったのです。
例えば、自分の価値を認めない人に、表面上どんなに良いことを言われても、なんとなく違和感を感じたり、聞く気にはなりませんよね。しかし、自分のことを認めている人の言うことなら、何でも聞いてしまいたくなります。
ゴンの溢れる好奇心や、人に対して純粋に本質や価値を認める性格が、こうやって、どんどん犠牲者…いや、仲間や協力者を増やしていくという天性の「人たらし」を実現しているのです。(笑)
幻影旅団を追うゴンたちの代わりに、ゼパイルはオークションの転売でお金を稼ぐことを任されます。おかげで質に入れたゴンのハンターライセンスを買い戻せる額を稼ぎ、取り返すことができた。ぜパイルを信頼していたゴンたちは「さすがプロの目利き!」と感動するが、実は取り返すのに500万ジェニーが足りず、ゼパイルは自分の臓器を担保にお金を補填していたのだった・・・。自分を信頼してくれているゴンを裏切れないゼパイルは、自分の見栄もあり臓器を担保にしてしまったが、そこまでしてしまうほど、ゴンの人たらし能力はすごいものです。
「信頼」というのは、時に恐ろしいものですよね。世間では実に様々な儲け話がたくさん出回っていますよね。ネットでも派手に稼げます儲かります系のローンチをやったりしていますが、そんな輩を下手に信頼したりしてしまうと、詐欺にあったり、借金を背負ってしまったりということもあるので、注意が必要かもしれませんね。仮に裏切られても、騙されても、どうってことない状態でいられればいいのかもしれません。「貸したお金は帰ってこない」みたいな(笑)
その後、ハンターライセンスがこれほどの高額になることを知ったゼパイルは、ハンターライセンスを売って人生を遊んで暮らすためにプロのハンターを目指し、ハンター試験に臨むのですが、そこには念能力で成長したキルアがいたおかげで、即失格になってしまった。ヨークシンシティ編では仲間だったが、キルアは容赦なかった(笑)
クラピカVSクロロ
クラピカに捕らえられたクロロの、印象的なセリフがある。
「こうなることは占いにはなかった。つまりこの状況は、昼下がりのティータイムのような、取るに足らない出来事だ。」
焦るクラピカをよそに、挑発とも取れるが、心音を聞き分けられるセンリツのセリフが、さらに象徴的にさせる。
「この心音は死を受け入れていて、死が常に側にある。」
と。
「恐怖」とは、大抵は痛みや死につながること、どうなるかわからない未知や不安からくるものです。
しかしクロロは、前提として完全に「死」を受け入れており、死ぬことへの恐怖は超越していると思われます。その上で、占いでは述べられていないことで、クラピカに捕まることは、取るに足らないことだと本気で思えているのです。
「死への恐怖心」を克服することは、ある意味何物も恐れるものはないかもしれません。
それこそ、宗教などの仕組みは、あの世の存在や生まれ変わりを説くことで、良くも悪くも死に対して一種の恐怖心を排除するようにしています。
極端に言えば、天国に行くことが約束されているから、自爆テロができてしまう人がいるのです。全員とは言いませんが、自爆テロを行う中で、本当に幸せだと思って喜んで死ぬ人もいるとは思います。
ある意味、死への恐怖心を克服することは、人類の夢なのかもしれません。
秦の始皇帝が不老長寿の為にあらゆる手を尽くしたように、ドラゴンボールでベジータやフリーザが不老不死を願おうとしたり…その願いの奥底には、「死への恐怖心」があるのだと思います。
様々なアニメやドラマ、映画などで「死」や「死生観」が描かれますが、もし死なないのであれば、人類の進歩や進化は止まってしまうかもしれません。生あるものは、必ず死ぬから、絶滅の危機に瀕するから、進化しないと生きていけないから、必死になって生きるのだと思います。
大分話が逸れましたが(笑)、何が言いたいかというと、「死への恐怖心」を克服することは簡単なことではありません。「死への恐怖心」を克服するよりも、いつかは死んでしまうのであれば、いつ死んでもいいような今をどう生きるか、ということが大事だと言うことです。
かく言う自分も、今はまだ死にたくないです!(笑)。死にたいと思うことはないですが、「死への恐怖心」を克服しなくても、「死を受け入れる」ことはできるのではないかと思います。「死ぬ気になれば何でもできる」と言いますが、死ぬくらいなら生きたいですよね?そうやって死に抗うからこそ、その命はひときわ輝きを増すのです。
「生」をより輝かせ、より臨場感を高めるために、「死」は必要不可欠な制限と誓約なのかもしれませんね。
話を戻しますが、クロロはある意味で、良い悪いは別にして、自分が生きたいように生き、死んだら死んだで仕方ないと覚悟して生きているのではないかと思うんです。クロロに限らず、幻影旅団のメンバーは、皆そんな強さを持っているように感じます。と言うより、あのような生き方をする以上、そうなってしまうのかなとも思います。逆に言えば、その覚悟があるから、あのような生き方ができるのかもしれませんね。
クラピカVS幻影旅団
通常の組織は、トップを潰せば瓦解するものです。戦においても、将を倒した方の勝ちですし、司令塔が倒されれば、命令系統は破綻し、組織はその力を失います。逆に、将さえいれば、組織の立て直しが効く為、たとえ万の兵を失っても、1人の将を生かすこともあります。(三国志なんかはその連続で、曹操や劉備は何度死地をくぐり抜けたか・・・)
それに対して、幻影旅団の強さの一つは、命令は頭のクロロの指示ですが、クモとしての目的こそが最優先で、頭を失っても、体・足が生き残るならば、そちらを優先するという、通常の組織とは違います。(だからこそ、レアな能力を持っている団員は、より優遇されます)
それは、「流星街」という環境に起因します。そこは、常識が通用せず、価値観や死生観も違います。
元々ゴミ捨て場だった場所に人が集まり、いつの間にか国とも言えるようなコミュニティになっていった。まともな家族もなく、捨てられたゴミを使い、捨てられた人々が生活を営む。
クラピカは、使命よりも仲間を取り、クロロは仲間より使命を取る考え方の違いがあった。
クモの中でも、パクノダ、マチ、ノブナガは、仲間を取る考えを持っていたから、クロロを助けることを優先した。結果的に、ネオンの予言では、クモの半分が死ぬはずだったのが、ウボォーギンとパクノダ二人だけの犠牲で済んだのでした。クモらしく、組織優先で判断していれば、あるいは予言通り、6人が死んでいたのかもしれませんね。
HUNTERxHUNTER特集 第3弾のまとめ
ヨークシンシティ編は、ハンターハンターの中でも見どころが多く、幻影旅団が登場したことで一気に緊張感が増して、ストーリーもクモを中心に進んでいきます。クモの残虐性や圧倒的な強さ、その旅団に復讐しようとするクラピカを中心に、ゴンとキルア、レオリオ、ゾルディック家のシルバやゼノまでがそこに絡み、様々な念能力も登場します。おかげで、こんなにボリュームのあるコラムになってしまいました(笑)
その中で、「こんなことを描いているのか~!」というような発見もあります。
正直、今回はストーリー進行にほとんど触れてませんが(笑)、新たに登場する念能力、そして何より幻影旅団を中心に紹介してきました。
冨樫作品の魅力の一つは、カッコイイ敵役、魅力ある敵キャラにあります。その登場人物一人一人に、しっかりとした背景を持たせるからこそ、滲み出る魅力が生まれるのだと思います。ここに関しては本当に神憑っていると思いますね。そういった部分を感じていただければ幸いです。
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